病害虫被害の実情を見る│自然栽培米の現場

こんにちは、自然栽培米専門店ナチュラルスタイルの井田敦之です。
無農薬を一切使用しない自然栽培米の水田では、病害虫の発生と広がりはどのようになっていると想像しますか?
「無農薬だった病害虫が大発生して大変では?」と多くの人が思うかもしれません。
しかし、実際の現場を見るとイメージとは全く違う光景が広がっています。
今回は自然栽培米水田における稲の病害虫被害の程度を見ていきたいと思います。
自然栽培米の稲の病害虫の被害
稲の3大病気と言えば、いもち病、紋枯れ病、ゴマ葉枯れ病です。また害虫としては、特にウンカが問題となります。
自然栽培米水田でのこれらの病害虫の発生状況を見ていきたいと思います。
いもち病
葉いもち
「写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集」
いもち病はイネいもち病菌が原因で、稲の代表的な病害です。
葉に円形の斑点を形成し、拡大するとともに褐色の紡錘形の病斑(上写真)となります。ひどくなると穂が白くなり、収量に大きな影響を与えます。
穂いもち
「写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集」
葉いもちや穂いもちが特に問題で、多湿や窒素肥料過多の状況で発生しやすくなります。
では、自然栽培米水田では、どうなのでしょうか?
自然栽培米水田では、株間を広くとる傾向にあり、また肥料も使用していないため、田んぼの株内の風通しが良く、窒素過多でもありません。
そのため、たまに育苗中の葉にいもち病が見られることはあっても広がらないため、心配する農家さんはほとんどいません。
紋枯れ病

紋枯病を引き起こすイネ紋枯病菌はカビの一種で、葉鞘に侵入して楕円形の病斑をつくります。
高温多湿の環境で広がりやすい病気です。
窒素肥料を多く使用した田んぼでは葉が茂り、株内が多湿となるため発生しやすくなります。
自然栽培米水田では、株間を広く取り風通しを良くしていることと肥料を使用しないために、いもち病と同様に、紋枯病の被害を心配する農家さんもほとんどいません。
ごま葉枯れ病

稲のごま葉枯病は、葉や穂に「ごま粒」のような病斑ができる糸状菌(カビ)による主要な病害です。
黒色または褐色で丸みを帯びており、周囲が黄色く変色するのが特徴です。
多発すると穂枯れになって青米や茶米が増え、収量や品質が低下します。25~30℃で病斑上の胞子が飛散し、感染が広まります。
窒素不足など、施肥管理が不適切なほ場環境では発生が助長されます。
鉄、ケイ酸、マンガンなどが不足した老朽化した水田や砂質土壌で発生しやすいと言われています。
自然栽培米水田では、肥料を使用しないためにごま葉枯病の症状を見ることがありますが、収量に影響を与えるほどは広がることはありません。
自然栽培米農家さんもあまり気にしていないようです。
ウンカ

東南アジアから飛来する害虫で、日本では梅雨から夏にかけて大発生することがあります。
稲の茎から汁を吸い、株全体を茶色くして枯らしていきます。
薬剤抵抗性を獲得しやすい虫で、農薬メーカーとの“いたちごっこ”が続いています。
自然栽培米水田でもウンカは見られますが、広がりは少ないのが実際です。
むしろ、肥料を多用した田んぼでウンカが大発生し、自然栽培米水田でウンカの広がりを食い止めている現場が多数ありました。
自然栽培米の稲で病害虫被害が少ない理由

左側:農薬・肥料を使用の田んぼ、右側:自然栽培米の田んぼ
農薬を一切使用しない自然栽培米では「稲の病害虫が大発生しているのでは?」と思う人もいるかもしれません。
しかし、実際には稲で問題となる病害虫の広がりはほとんどありません。
その大きな理由は肥料を使用していないためです。
窒素肥料を多用すると稲の生育は大きくなりますが、植物の細胞は柔らかくなり病害虫の被害を受けやすくなります。また稲の体内にアミノ酸や可溶性の窒素化合物が増え、多量の窒素分は虫や菌からすると繁殖するための栄養の宝庫なのです。
肥料を使用しない自然栽培米の現場では、実際には病害虫に悩むことはほとんどありません。
まとめ:病害虫の被害について
今回は自然栽培米水田での病害虫の被害について見ていただきました。
実は、農薬と肥料を使用しない自然栽培では病害虫はほとんど広がりません。特に肥料を使用しないことが大きな要因です。
肥料は植物体を大きくし収量も増加できますが、同時に病気と虫を寄せ付けます。
一般の慣行栽培では、農薬を使用して対処しますが、そうすると農薬耐性を持つ病害虫との闘いが始まります。
なるべく収量が多く、見た目も良い農作物を取ろうと農薬と肥料を使用しますが、そのために自然界の病害虫との永遠の闘いが生じており、化石燃料に依存している農薬や化学肥料を使い続けているのが現状です。
自然栽培の現場では全く異なった世界が見られます。
肥料を使用しないため病害虫が発生しにくく、さらに無農薬で多様な生物が存在することで病害虫の天敵が多くなり、病害虫の被害が広がりにくい環境が作られているのです。





















































