「自然栽培」と「海の水質環境」の関係とは
こんにちは、自然栽培米専門店ナチュラルスタイルの井田です。
自然栽培とは、農薬も肥料も使用しない栽培ですが、何となく環境に良いイメージがあるかと思います。
今回は、実際に自然栽培は自然環境にどのような影響を及ぼしているのかを見て頂ければと思います。
熊本県天草市で自然栽培米を作る川﨑眞志男さんに「自然栽培と海の水質環境の関係」についてお話をして頂きました。
川﨑さんは、2004年に天草市で始まった海の浄化事業に携わってきた方で、海の水質変化を観察してきた人なんですね。
なかなか普段の生活の中で、陸と海が繋がっていることを意識する機会は少ないでしょう。
以前から川﨑さんの田んぼに伺うたびに、陸で無農薬栽培を続けてきた結果、海草のコアマモが増えて、海が環境改善していると聞いていました。
今回は、実際に現場に伺ってみて、川﨑さんの田んぼの水が流れ出る河口での状況を取材しました。
2000年代の農薬使用量と海の現状
日本の農業では、明治時代から輸入された農薬が使用され、種類も徐々に多様化し、2000年頃には農薬使用量がピークに達しました。
2000年頃は農薬大国で現在の約1.5倍ほど使用していたと言われています。
その影響で、海の生態系に悪影響を及ぼしていたと考えられます。
2004年には、天草市でも海の水質が問題視され、海の浄化事業が始まったといいます。
2006年当時、川﨑さんの田んぼの下流にあたる河口では、海草のコアマモがほとんど確認できず、畳2枚分しかない状態だったそうです。
川﨑眞志男さんの自然栽培米の取り組み
川﨑さんは、天草でお米をずっと作り続けていますが、約40年前に無農薬栽培を開始しました。
20年ほど前からは、無農薬・無肥料の自然栽培に取り組んでいます。
川﨑さんは、自然栽培米作りの取り組みは、河川の水質をきれいにするため非常に重要だと言います。
水は情報を伝達すると言われますが、農薬も肥料も使用しない田んぼを通った水が、下流の水質をきれいにしていくことは十分に考えられることです。
実際に、自然栽培農家で、河川の水質改善を意識して栽培している人は多いです。
田んぼの下流でコアマモの再生
川﨑さんは、2006年から自分の田んぼの下流にあるコアマモの状態を確認してきました。約10年後の2015年頃には、コアマモの再生がはっきりと確認できたそうです。
現在では、気温上昇の影響のためか、ここ3年で若干減少したものの、海辺一帯でコアマモが広く確認できるようになりました。
海草のコアマモが増えるということは、コアマモを生息場とする小さな生物達も増えることを意味します。
また、コアマモ自体が水質を浄化する作用を持つと言われており、相乗効果で海の水質改善が期待できます。
自然栽培米作りで
海をきれいにする
まとめ:自然栽培と海の水質環境の関係
上写真:全体的にうっすら緑に見えるのがコアマモ
川﨑さんから、陸の自然栽培によって海のコアマモが増えたと聞いていましたが、ようやく現場の取材に行くことができました。
2000年頃は、農薬の使用量がかなり多い状況で、他の農家さんから「河川で魚がいなくなった」と聞いたことがあります。
現在、日本では99.4%の農家が農薬を使用している現状です。
ただし、農薬の使用量自体は減っている傾向にあるのが救いです。
見た目の良い農作物が市場で評価されるため、農薬使用量を急に減らすのは難しいかもしれませんが、徐々に農薬を減らすことを許容できる世の中になれば良いですね。
普段、陸と海との繋がりを意識することは少ないかもしれませんが、陸がきれいになれば海もきれいになるという関係性を、今回感じていただければ幸いです。
私たち「ナチュラルスタイル」は自然栽培の現状や考え方を広く知ってほしいと思っています。
今回の記事が参考になりましたら、ご自由にこの記事をシェアー下さい。
【参照元】「自然栽培」と「海の水質環境」の関係とは