自然栽培歴でお米の食味は変化するのか?|冨田自然栽培米
こんにちは!自然栽培米専門店ナチュラルスタイルの井田敦之です。
日本のお米作りにおいて、戦後から農薬や肥料が使用され、1970年代からはコシヒカリが主流のお米となり、粘りや甘みのあるお米が重宝されてきました。
私は10年以上にわたり自然栽培米をお届けしておりますが、自然栽培水田での自家採種歴が長くなるとお米の食味が段々とあっさりしてくるのは承知していました。
しかし今回は、自然栽培歴が短い田んぼと長い田んぼでは食味に違いがあるのかを農家さんに伺いました。
品種改良を重ねて生まれた甘さや粘りのあるお米でも、昔と同じような環境で育った場合、お米はどのように変化するのか?つまり本来のお米の食味を知る手掛かりになると思います。
今回は、長年にわたり家族で自然栽培に取り組んでいる冨田さんに、自然栽培歴によるお米の食味の変化について伺いました。
記事の最後にはご本人による動画もあります。ぜひご覧ください。
目次
熊本県の自然栽培米農家の冨田家
熊本県七城町の自然栽培米農家、冨田家は、親(冨田親由)の代を入れると自然栽培歴25年以上の経験があります。
上写真の冨田和孝さんは現在も少しずつ自然栽培米の水田を増やしており、約50枚と田んぼを管理しています。したがって、自然栽培歴の短い田んぼや長い田んぼが混在しています。
自然栽培歴による田んぼの外観の違いは、以前、別の記事(下記参照)でお伝えしたように、田んぼの有機物量や土の状態などが全く異なります。
今回は、「自然栽培歴の違う田んぼで育ったお米に味の違いがあるのか」自然栽培米を食べ続けてきた息子の和孝さんに、率直に感じるところを伺いました。
自然栽培歴によるお米の味の変化
幼い頃から自然栽培米を食べ続けてきた冨田和孝さん曰く、「自然栽培歴が長くなるほど、だんだんとお米は美味しくなってくる」と言います。
田んぼにより環境条件が異なるので一概には言えませんが、自然栽培歴1年目よりも2年目の食味が良く、だんだんと食味が変化してくるのだそうです。
これまでの傾向として、5-10年目くらいまではあっさりした食味に変化し続けて、10年目以降からはお米の味が安定すると言います。
ただし、前提として和孝さんが美味しいと感じるお米は、一般に粘りや甘みがあるお米ではなく、あっさりした食味のあるお米です。
自然栽培歴が長くなるとあっさりする?
私は10年以上にわたり自然栽培米をお届けしていますが、実は他の多くの自然栽培米農家さんも、同じ品種でも自然栽培歴が長くなると徐々に食味があっさりしてくると言われています。
もちろん、各品種が持つ粘りに特性はございますが、その中でも自然栽培環境下で育つと、少しずつあっさりした食味に変わってくる傾向にあるようです。
自然栽培米とは農薬や肥料を使用せずに育ったお米をいいますが、特に肥料を使用していない点が大きな要因と考えられます。
粘りに関しては、品種特性もございますが、自然の状態に近づけて育てるとあっさりしてくるというのは興味深い現象です。
私達はこれが本来のお米の姿だと感じています。
自然栽培歴でお米の食味は変化するのか?
最後に:自然栽培歴でお米の食味は変化するのか?
今回は、自然栽培経験年数の長い冨田さんに、自然栽培歴によってお米の食味が変化するのか伺いました。
実は、お米の収穫後に冨田さんから「特に今年はお米の違いを感じた」と連絡があり、実際にどのようにお米の味の違いを感じたのかを伺いに行きました。
1970年代にコシヒカリ系の粘りや甘みのあるお米の品種改良が進みましたが、どうやら、人為的な物を何も入れず自然栽培で育て続けると徐々にあっさりしてくる傾向にあるようです。また自然栽培歴5-10年までは徐々にあっさりしてくるが、10年以上は味が安定してくるというのもおもしろい気付きです。
これは、本来私たちが主食として食べてきた米はあっさりしていたことを意味しているのかもしれません。
また、私としてはお米のたんぱく質含有量も影響しているかと推測します。
一般にお米のタンパク質含有量は6.8%前後ですが少ないほど美味しくなると言われています。自然栽培歴が長くなると田んぼから余計な窒素肥料分は抜けていくのでその影響もあると思います。
もちろん、食は楽しむものなので好みは人それぞれですが、昨今の原点を見直す時代の中で、粘りや甘みを重視してきた現代のお米の価値観が徐々に変わってくるかもしれません。
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