無農薬の自然栽培米の苗床作業|熊本県菊池市七城町の冨田米
お米作りの世界では「苗半作」という言葉があります。
「苗の良し悪しで、その年の収量が左右される」という喩えです。
苗は、非常にデリケート。水量や遮光、通気など生育環境に気を配りながら、苗の成長を見守る必要があります。
よって苗床作業は、お米作りにおいて非常に重要であり、米農家さんにとっても一年のうちで最も緊張する作業なのです。
九州では、5月中旬頃から苗床作業が始まります。
熊本県菊池市七城町で無農薬・無肥料の自然栽培米を作る冨田さんも、苗床作業を行いました。
目次
冨田さんの今年の課題は「強い苗を作ること」
昨年のお米作りは、長雨による影響を受けてこれまでにない収量減となりました。
また記録的な豪雨にも見舞われ、一時的に増水した田んぼの中にはジャンボタニシが大発生。田植え後のまだ柔らかい苗をジャンボタニシたちに食べられてしまいました。
しかも収穫前には西日本を中心にウンカ(稲につく害虫)の大群が飛来。
試練が続いた米作となり、多くの農家が打撃を受けました。
近年の気候変動は、農業にとっても非常に深刻です。急速に進む地球温暖化においては稲にも高温障害などが起こり、品質や収量の低下を招いています。
このような事態を打開するために、最近では耐性の強い品種の改良・開発が進んでいます。
冨田さんも今年の課題は「強い苗を作る」こと、苗床作業にもこれまでにない工夫を加えました。
自然の力のみで作物を育てる自然栽培では、自家採種を重要視しています。よって品種改良した種を使用するのではなく「苗の段階でいかに強くするか」という点に着目しています。
無農薬・無肥料で強い苗を作るための取り組み
稲の栽培は、主に以下2つの栽培方法があります。
・直播栽培…田んぼに種籾を直接播いてそのまま育てる
・移植栽培…苗代田や育苗箱で苗を育て、田んぼに移植(田植え)する
現在では、移植栽培が主流です。移植栽培には以下のメリットがあります。
・苗を均一に育てられる
・温度、水量、湿度、虫の駆除などの管理がしやすい
・雑草を防ぐことができる
・早期栽培ができる
・種籾を植えないので、鳥に食べられない
冨田さんも移植栽培を行っていますが、一般的な栽培方法とは異なるこだわりを持って、苗床作業を行っています。
無農薬・無肥料の自然栽培なので
まずは育苗に使用する土は不純物を含まない山土を使用することです。
また強い苗を作るために冨田さんは、例年よりも1週間早く苗床作業をスタートしました。苗床での生育期間を長くし、35日苗(可能であれば40日)を目指しています。
また苗床作業後、苗床の上にかぶせるラブシートも部分的に一週間ほど早く除き、かぶせている部分との成長の違いを比べていきます。
※黒いシートがラブシート:保温・保湿することで苗の生育を守る
今年の苗床作業は、育苗期間の調整やシートをはがすタイミングなどで実験的に育苗します。そしてこれまでの方法とはどのような生育の差が生まれるのか観察し、来年度に活かしていきます。
自然栽培米農家さんは、農薬や肥料を使用しないため実験や経験則が重要となるのです。
無農薬や無肥料で栽培するとなると別の考え方が必要となるのですね。
多くの方に助けてもらい晴れ間を見て苗床作業
九州の苗床作業は、梅雨入り前の5月に行われるのが通例です。しかし、2021年の熊本の梅雨入りは、5月15日という観測史上2番目に早い梅雨入りとなりました(例年の梅雨入りは6月5日前後)。
冨田さんの苗床作業は、梅雨入りが宣言された翌日16日から開始。先述したように、強い苗を作るため例年よりも早く行いました。毎年熊大生がお手伝いに来てくれますが、コロナ禍の今年は冨田さんの知り合いの方々にだけ手伝いに来てもらいましたが、多くの方が手伝ってくれました。
苗箱の中には、稲の赤ちゃんが入っています。苗箱はいわば保育器のようなもの。よって和孝さん(冨田さんの息子さん)は、苗箱を運ぶときは「赤ちゃんを抱っこするように優しく運ぶ」と言います。
2021年の苗箱の数は合計2130枚。これだけの数の苗箱を赤ちゃんを抱っこするように運ぶのは人手のかかる大変な作業ですが、リレー方式で効率良く設置していきました。
作業終了後は、熊本のブランド豚「走る豚」のお肉で、恒例のBBQ。体を動かす作業をした後のごはんは、美味しさもひとしおです。
子どもたちも泥に足を浸けながら、楽しく過ごしていました。普段はなかなか体験できない苗床作業。お米作りの舞台裏を見せることができ、貴重な時間を共に過ごすことができました。
まとめ
苗半作といわれるように、苗の出来は一年の収穫量に大きく影響します。
そのため冨田さんは、いかに強い苗を作るのか試行錯誤し、自分の育苗技術を確立していくことを今年の課題としました。
成果は一朝一夕に見られるものではありませんが、冨田さんが長年培った技術と経験により、期待通りの結果を得られるに違いありません。
「早い梅雨入りは、明けるのも遅くなる」と言われていますが、たくましい自然の力を脈々と受け継いできた冨田さんの種籾には、雨に負けない生命力が込められていることでしょう。
令和3年の冨田さんの自然栽培米作りはどうなるのか?注目すべき場面がたくさんありそうですね。
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