自然栽培米水田は痩せている?|稲本自然栽培米の土壌分析結果を見る!
こんにちは!自然栽培米専門店ナチュラルスタイルの井田敦之です。
全農業の99.5%を占める慣行栽培は、農薬は肥料を使用する栽培です。
一方、自然栽培は肥料を一切使用しません。
そのため「慣行栽培と比較して、土地が瘦せているではないか?」と聞かれることがよくあります。
しかし、慣行栽培よりも収量は少ないものの、毎年安定的に収穫しているのも事実です。
実際のところ、自然栽培米水田の土中の栄養分はどうなっているのでしょうか?栄養分が不足しているのでしょうか?
今回は、自然栽培歴40年以上の稲本自然栽培米水田の土壌分析結果を共有いたします。
全く予想していなかった結果に驚きました。記事の最後には動画もあるので、ぜひご覧ください。
目次
稲本薫の自然栽培米水田とは?
稲本薫さんは熊本県八代市で自然栽培米作りを40年にわたり続けています。
自然栽培とは無農薬・無肥料での栽培であり、自然(太陽光・水・土など)の力を利用して育てる栽培方法です。
現代の慣行栽培は、人為的な農薬や肥料を使用し、人間に不都合な病害虫や雑草を農薬で減らし、不足した栄養分を肥料で補うという考え方です。
稲本さんは40年にわたり無農薬・無肥料で稲を栽培しているので、慣行栽培の視点からすると、土壌中の栄養分は稲に吸い取られて不足していると考えられます。
さて、稲本さんが行った自然栽培米水田の土壌分析の結果はどのようなものだったのでしょうか。
自然栽培米水田の土壌分析結果を見る
私は、稲本さんの自然栽培米水田の土壌分析結果を見て、驚きました。
予想では、人為的な肥料を添加していないので、栄養分は普通よりも少な目をイメージしていました。
ちなみに稲本さんの水田の収量は平均6俵/反ほどで、慣行栽培が9俵/反なので7割程度の収量です。
土壌分析の結果を見ると、なんとカリウム・カルシウム・マグネシウム・リンとミネラル分が全て普通からやや多めに含まれているのが分かりました。
つまり、化学肥料や有機肥料等何も肥料分を添加していないのに十分にミネラル分が存在していたのです。
腐植に関しては、少なめでした。
※腐植とは、微生物の分解によりできた黒褐色の有機物
腐植が少ない理由として稲本さんによると、「収穫後の稲の残渣だけを土に返すことを意識しており、春草が生える前に土を耕しているから」のようです。また堆肥類も一切加えていないため一般値よりも低めなのかもしれません。
土の栄養分を供給している生物たち
なぜ無農薬・無肥料の稲本さんの自然栽培米水田のミネラル分が平均よりも多めに存在しているのでしょうか。
その理由を見ると、自然栽培と慣行栽培との大きな違いが見えてきそうです。
その理由とは「生物量の差」です。
稲本さんが仰るには、このミネラル分の多さは生物由来とのことです。確かに、自然栽培米水田では巻貝などの貝類やヤゴの抜け殻など、ミネラルを含む生物がたくさん見られます。
また、農薬を使用しないため微生物量が多く、その微生物達の死骸が栄養分となっているとも考えられます。
自然栽培米水田の土壌分析の結果
生物たちの命を守る農業をすると、自然の循環の中で作物の生育に必要な栄養分が十分に供給されるようです。
最後に:自然栽培米水田の土壌分析の結果について
これまで、私は自然栽培米水田の土壌状態(物理性)の良さは把握していました。
慣行栽培の土は硬くてガチッとしていることが多いのですが、自然栽培米水田の土は、保水力があり柔らかい傾向にあります。
今回の土壌分析結果により、自然栽培米水田では栄養分が不足するどころか、ミネラル分が実は十分に存在していることが分かりました。
その背景には、無農薬によってたくさんの生物量が土中で生息していることが影響していると考えられます。
また、別の視点で私個人の意見として今回の分析結果を考察したいと思います。
今回の分析日は12/5です。つまりお米の収穫後です。
一般の慣行栽培の収量は平均9俵/反ですが、実はこれは取り過ぎではないかと思っています。
多収穫を目指す現代農業では、ある土地から100を収穫できるとしても、農薬や肥料を使用する事で120の収穫を目指しているように思います。土地に無理をさせるので、土地の栄養分は減り、硬くなっていると思います。この状態では、来年も農薬と肥料が必要です。
土壌分析で自然栽培米水田のミネラル分が多い結果ですが、多いのでなくこれがバランスが取れた状態なのかもしれません。
肥料を使用しない自然栽培米の稲の成長はゆっくりかもしれませんが、それだけじっくりと米粒が育ちます。
私たちの命は、食べ物の命から養われています。その食べ物の命は、田畑の生物達の営みから育まれています。
農薬・肥料信仰が根強い現代の農業ですが、私たちは生物たちの命を尊重する農法を広めていきたいと思います。
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