生物量の違いを見る|自然栽培米の現場

こんにちは、自然栽培米専門店ナチュラルスタイルの井田敦之です。
自然栽培米水田と慣行栽培米水田を見比べると、田んぼ内の雰囲気は全く異なります。
自然栽培をされる方は広めの間隔で田植えをすることも多いため、明るさの違いなども感じられます。そして、実際に田んぼに入ってみると気づくのは「生物量の違い」です。
「カエルがいるな〜」「おっ、テントウムシやクモだな」収穫の時には「バッタがいるな〜」と自然栽培米水田では、常に生物の存在を感じます。
今回は、自然栽培と慣行栽培の水田における生物量の違いについて見てみたいと思います。
自然栽培と慣行栽培の水田の生物量の違い
写真:ウンカの発生した田んぼにテントウムシ
自然栽培水田と慣行栽培水田において、害虫とされるウンカの数を調査した方がいました。
その結果、自然栽培水田でも慣行栽培水田と同じようにウンカの数は多かったのです。
しかし大きな違いは、自然栽培水田ではウンカ以外の生物量も多かったことです。
この違いは非常に大きく、自然栽培水田では多様な生物環境を作っているためにウンカが発生しても被害が広がらない現象が見られます。
上写真は、隣の田んぼからウンカが入ってきた際の自然栽培米の田んぼです。肉食系のテントウムシが、ウンカを捕食しにきているのです。
(ここでウンカ対策に農薬を撒くとテントウムシも減少。生き残ったウンカが繁殖を繰り返しまた広がっていきます。)
自然栽培米水田では、ウンカの繁殖をテントウムシやカエル、トンボなどの生物によって食い止めているのですね。
自然栽培米水田でよく見る生物

自然栽培米水田で最もよく見られるのはクモです。このクモもウンカを捕食しています。
また、稲に黒い斑点米を付けるカメムシを捕食するのもこのクモの役割です。
次に多いのはカエルです。

カエルもまた昆虫を食べるため
ウンカを始め稲に被害を与える生物を減らしてくれる存在です。
その他にも、トンボだけでなく、小さなイトトンボも多く見られます。

ゲンゴロウはきれいな水を好む肉食昆虫で、田んぼをきれいに保ってくれています。
ゲンゴロウ減少の最大の要因は農薬と言われており、水田のエサと水草が減少したためだと言われています。

農薬を使用しない環境にすると、ここまで生物量は多くなるのですね。
自然栽培水田で生物量が多い理由

自然栽培米の水田で生物量が多い最大の理由は、無農薬であるためです。
一般的な農業では、稲に被害を与えるウンカなど害虫を駆除するために農薬が使用されます。
さらに雑草が生えてくると稲の生育のための養分が取られるので除草剤を撒きます。
現代の効率的な農業においては、農薬は必須になっていますが、農薬は土壌の有用な微生物まで区別なく駆除してしまいます。
土壌微生物は生態系の土台であるため、それが失われると水生生物や昆虫は食物がなくなり、生育できなくなります。
農薬の使用の有無が、土壌微生物量に大きな影響を与え、田んぼ全体の生物量に大きな違いを生むのです。
まとめ:生物量の違いを見る

今回は、私が長年自然栽培米水田を回ってきて感じた大きな違いのひとつである「生物量」についてお伝えしました。
自然栽培水田ではクモやカエル、テントウムシ、ヤゴ、トンボ、ゲンゴロウなど多種類の生物が存在し、生物の息吹を感じることができます。
そしておもしろいのは、無農薬の水田では生物多様性が保たれるため、天敵の存在によって特定の虫(ウンカなど)が広がることがない点です(ウンカがいても広がらないので問題にならない)。
自然栽培に長年取り組んでいる方は
「農薬を使用しなくても広がらないのに・・何故、農薬を使用するんだろうね?」と言います。
農業も大きく2つの道に分かれそうです。
一つは、「人間を重視する農業」
より多くの収穫量を得るために人間の開発した農薬や肥料を活用する農業です。
生産者の欲が強く、自然との乖離が生じてきた場合は、自然との終わらない闘い(病害虫や雑草との闘い)が始まります。
もう一つは、「自然を重視する農業」
全ての土台は自然であることを知り、自然と共存を目指す農業です。
自然を重視する農業は、実は長期的には人間を重視する農業になります。
自然を重視するために
・農家さんの心身に与える影響
・収穫された農産物がお客様に与える影響
・自然環境に与える影響
と好影響が期待できます。
「自然を重視する農業」の結果が
今回の「田んぼの生物量が豊かになる状態」を生んでいるのです。

























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