自然栽培水田での病害虫発生の真実|植田秀幸の自然栽培米

更新日:2023年4月19日 公開日:2022年11月28日

植田さんと自然栽培米の稲

こんにちは!自然栽培米専門店ナチュラルスタイルの井田敦之です。

現代で実践されている農法の約99.5%が、農薬と肥料を使用する慣行栽培です。農薬で虫や病気の発生を抑え、肥料で農作物の成長を促す。誰もが疑わない常識的な栽培です。

一方、0.1%以下と言われる農薬かつ肥料も使用しない自然栽培は、「虫や病気が発生し放題の農法」と考える人もいるでしょう。

実際に自然栽培は病害虫の温床だと思っている農家さんも少なくはないでしょう。

しかし、本当にそうなのでしょうか?
現場を見ると全く別の現象を見ることとなります。

今回は、実際の現場を見せて頂くために熊本県玉名市の自然栽培農家、植田秀幸さん(うえだ・ひでゆき)を尋ねました。

植田秀幸の無農薬での栽培方法とは?

植田自然栽培米の田んぼ

植田さんはもともと慣行栽培でお米を作っていましたが、50歳のとき心筋梗塞を患ったことがきっかけで量より質を追求して自然栽培を志しました。

植田さんは入院生活の中で、自分の農業と健康の関係について深く考えさせられ、「自然に即した農業」こそが自分の歩むべき道であると気付いたそうです。

そして「量ではなく質を重視する江戸時代の農法こそが自然の理にかなっている」という答えに辿り着き、自然栽培でお米を作ることを決意。

それから植田さんは江戸時代の農法に倣い、10年以上に渡って無農薬・無肥料の自然栽培米作りに取り組んできました。

慣行栽培では、虫や病気が発生すると農薬を使用しますが、植田さんは全く使用しません。

ということは、「農薬を使用しない自然栽培は、虫や病気が発生しやすいのでは?」と思う人もいるでしょう。

実際のところはどうなのでしょうか。植田さんの田んぼの虫や病気に発生状況について現場で直接伺いました。

自然栽培水田での病害虫発生状況について

植田自然栽培米の田んぼ左側

左側が植田さんの自然栽培米の田んぼです。
右側が農薬・肥料を使用している慣行栽培の田んぼです。

右側の田んぼの奥を見ると病害虫の被害を受け稲が倒れているのが見えると思います。

私は数々の自然栽培水田の現場をまわっておりますがよく見る光景です。
農薬や肥料を使用している所ほど病害虫の被害が拡大して温床となる傾向にありそうです。

植田さんに病害虫の発生に関して伺うと、「今年は、もともと土が肥えている所で少しハムシが発生した」とのことでした。

一方、土が肥えていない田んぼではハムシの発生がなかったと言います。

稲の虫ハムシ

ハムシは、写真のように幼虫・成虫ともに稲の葉を食べ、収穫量や質の低下などの害を及ぼす虫です。

このハムシの発生の状況から示唆されることがあります。

それは、慣行栽培において農作物の成長促進に欠かせない肥料でも、量を間違えると虫や病気が発生しやすくなるということです。肥料は、農業における「諸刃の剣」ともいえる存在なのです。

植田さんは無肥料なのでそのリスクは少ないですが、肥料を使用する田んぼでは病害虫が発生するリスクが高まるのです。

また、今年は稲の代表的な害虫であるウンカが多量発生する年だといわれていましたが、植田さんの田んぼでは「特に気にならなかった」そうです。

さらに稲特有の病気、紋枯病(もんがれびょう)も発生した年でしたが、これについても「被害が広がることはなかった」とのことでした。

病害虫被害を拡大させない方法とは

植田自然栽培米の田んぼにいるクモ

植田さんの病害虫対策は、「農薬を使用しないこと」です。

まるっきり発想が逆ですね。一般栽培では、病害虫が発生したら農薬を使用すると教えられるのに、植田さんは「農薬を使用するから被害が広がる」と言うのです。

では、どのようにして稲が守られているのかというと、田んぼに棲むたくさんのカエルやクモたちの生命活動です。彼らが益虫となって、害虫を食べてくれるのです。

植田さんにとってカエルやクモは、自然栽培米作りを手伝ってくれる大切な仲間なんですね。

農薬は、効率性を重視した大量生産の現代において必要不可欠なものとなりました。今、私たちの食が豊かであるのも、戦後における食糧難の解決や労働の省力化に貢献した農薬の恩恵の賜物なのです。

しかし一方で農薬は、田畑の有益な生物達も殺してきました。農薬を使用すると来年も農薬が必要になるループができてしまうのです。

自然栽培は多様な生物を味方につけて、持続可能な農業を実現させる示唆に富んだ栽培であるともいえます。

植田自然栽培米
虫や病気の発生状況

最後に:稲の病害虫の発生状況と対策について

自然栽培米農家植田さんと稲

稲の病害虫の種類はさまざまであるため、慣行栽培ではそれぞれの生態に応じて農薬を使い分けます。

しかし、自然栽培の病害虫対策はたった一つ。それは、植田さんのように農薬を使用せず「田んぼに棲む虫たちの力を借りること」です。

農薬を使わなければ病害虫が蔓延すると思う人もいるかもしれませんが、実際の現場は違います。全くその逆で農薬・肥料を使用するから病害虫が蔓延しやすくなるのです。

農薬や肥料は、人間の体でいうと
薬と栄養素(有機肥料:肉(たんぱく質や脂質)、化学肥料:サプリメント)と言ったところでしょう。
適度な栄養素は体に必要ですが、摂り過ぎると肥満体になり、免疫力が落ちて、病気がちになり薬が必要となります。同じです。

私達の健康を保つキーは腸内細菌です。やはり他の生物との共存が大事なのです。

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